[政治哲学]2005.9.11総選挙――自民党の保守思想の転換

 昨日本屋で買った本を今読んでいる。まだ30頁弱しか読み進めていないが、この本の内容がこれからの第44回衆議院議員総選挙(解散総選挙)で日本国の社会の構想をどのようにするかを考える上で参考にはなるだろう(本の詳細はまだ把握し切れていないので、読了してから書評を書く)。
 今までの自民党(自由民主党)の政治は、「国土の均衡ある発展」をスローガンに公共事業を行うことで、地方農村部に資本投下してきた。その結果、スローガンの通り都市と地方との格差がそれほど開かぬままに経済発展してきた。
 しかし、この集権的再配分の手法が巨額の財政赤字を生み、「タカリとバラマキ」と言われる構造的問題となっている。そこで収益性の悪い事業へ資本投下することをやめ、行政の資本配分の見直しを行おうとしている。
 小泉首相はじめとする自民党がその象徴としているのが郵政民営化である。小泉首相の手法は都市部で支持を集め、地方農村部で批判を浴びている。ここには自民党の保守思想の転換がある。
 従来の自民党の思想は言わば<コミュニタリアニズム(Communitarianism;共同体主義)>、つまり共同体下で共通に了解されるであろう<ベース>となる思想(例えば<日本人の伝統>とでも言うべきか)に立脚し、このベースに基づいて共同体内の発展を行ってきたと言える。
 対して、小泉政治は集権的再配分から個々の主体による活動に任せ、行政再配分機能の縮小を図ろうとする(いわゆる「官から民へ」とよく言われるもの)。ここにある構想こそが、今読んでいる本の内容と関係する。
 「個々の主体による活動」と言うのは、いわば市場メカニズムによる調整機能の下での活動であり、市場のルールに則った上での自由が確保される。そこでは市場への規制は少ない。なぜなら、市場への規制は個々人の自由意志による活動を妨げるからだ。大雑把だが、小泉政治の思想は<リバタリアニズム(Libatarianism;自由尊重主義)>と言える(ちなみにマスコミなどで現在よく言われている「ネオリベラリズム」の内実は、リバタリアニズムだと解するとよい)。
 小泉型自民党政治が都市部で支持される理由は、民間部門への自由を主張するからだろう。現在報道されている「刺客」問題に象徴される<自民党の都市と地方のねじれ>は、自民党が唱える保守思想の転換をめぐる表れなのである。さて、保守論壇各紙もコミュニタリアニズムからリバタリアニズムへの転換を図るのだろうか。まあ、リバタリアニズムで政府部門が縮小すれば各共同体が大手を振るうことが容易になるから(∵政府部門の介入が縮小される)、保守思想と両立可能ではあるけど。

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